暦のなかに啓蟄(けいちつ)という日があります。

今年は3月5日が啓蟄でした。

啓蟄と言うのは、地中の中で冬ごもりをしていた虫たちが春の訪れを感じて地上へと這い出してくるという意味です。

さてベアマウンテンのヒグマたちも「冬ごもり」に挑戦して、早いもので3ヶ月が経ちました。

今までの間、ヒグマたちはワラの上で落ち着いて眠っていましたが、最近はモゾモゾと身体を動かしなんとなく落ち着きがなくソワソワしているように思います。

そんな事を感じ始めた3月5日です。

いつもの様にヒグマ舎の屋上に上がり呼吸数を数えている私の背後で『カンッ』と金属音がしました。

昨年も似たような経験を持つ私は「まさか」と思い、後ろを振り返ると換気口の蓋が動き出し、クマの前肢が出てきました。

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1番若いサンタ(オス 8才)が立ち上がり、換気口を開けたのです。

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また、獣舎内でのクマ観察時にも飼育係に気付いて扉の前にしっかりとした足取りで近づいてきました。

3ヶ月も、何も食べずに眠っていたとは思えないほど動きは良く、ヒグマの生命力の強さに改めて驚いています。

3月11日、TVのニュースでは斜里町で野生のヒグマが民家に現れ「タクアン」を食べていったと報じていました。

このニュースから野生のヒグマと、飼育下での「人工冬ごもり」ヒグマとも目覚める時期は同じ頃なのかと思いました。

このことから、飼育下でのヒグマが人工冬ごもりを終えるのと、野生のヒグマが活動を始める時期が同じとするならば、仮説ではあるが人工冬ごもり個体の動きを見て野生ヒグマの活動を予測できるのではないか。そうすると、春登山や山に入る方へ事前に注意情報を知らせる事が可能になると思います。

多頭数の「人工冬ごもり」を行なっているベアマウンテン。

その観察データは、様々なことに活用できるかもしれません

【飼育 黒川】