先週は暖かい日が続いたので獣舎の屋上もすっかり雪がとけて水びたしになってしまいました。
土、日、月と気温も下がり、雪が硬くしまっています。
コウタの部屋の中を観察すると寝床の近くに雪が落ちており、このままではワラが濡れてクマの体温を奪ってしまう為、取除くことにしました。
部屋からシュートに出たコウタはゆっくりと確かめるような足取りで数歩歩き、地面や扉の臭いを嗅いだ後、壁に前足をついてゆっくりと立ち上がりました。動きはゆっくりですが、しっかりと2本足で起立して壁に背中をゴシゴシ…
背こすりをして元気な様子を見せてくれました。
体格的には皮下脂肪がなくなったせいで背骨の凹凸が目立ち、全体的に一回り小さくなったような印象を受けました。
今まではシュートに出た後も”ねぼけまなこ”といった感じで「早く部屋に入って眠りたいんだよ」と言いたげな眼をしていましたが、今日のコウタを見ていると目つきもしっかりとしていて冬ごもりが明けに近づいていることを感じさせてくれました。
コウタの様子を確認した後、私たちは部屋に入り雪を取除く作業をしました。
雪の正体は天井にびっしりついた霜でした。
気温の上昇で霜がはがれ落ちてしまったようです。
新しいワラを追加してあげて、コウタを再び部屋の中へ。
扉が開くのをじっと待っていたコウタは部屋に入るとすぐにワラいじりをし始めました。
今年は例年より積雪が少ないように感じます。
気温も暖かいので野生個体が冬ごもりから目覚める時期も早くなるかもしれませんね。
長い冬ごもりの間クマたちはきっと春を心待ちにしているのではないでしょうか。
穴の中で生まれた仔グマが初めて見る外の世界はいったいどんな風に見えるのでしょうね。
クマが穴から出て活動する季節になるとどうしても人間との接触や事故も多くなってしまいます。
春を迎えられたクマたちがまた1年無事に過ごせるように、私たちもルールをしっかり守ってクマとの関係を良いものにしていかなくてはいけませんね。
日常の生活の中では山に暮らすクマを想う時間は少ないかもしれませんが、彼らがずっと北海道の自然の中で生きていけるように一人一人が考えていけたらいいなと感じました。
【飼育:伊藤】